Georgy Porgy (TOTO)

TOTOを初めて聞いたのは多分高校2年か3年の頃だったと思う。エレキギター1)を買って友達とロックバンドを組んだ頃だ。最初は初期のハウンドドッグとか甲斐バンドあたりのコピーから入った。そのうちギタリスト中心に洋モノバンドを物色し始めた頃に聞いたのではなかったか。

「Georgy Porgy」は、1978年発売のファーストアルバム2)の3曲めに入っている。ギター少年としては急速にハードロックに傾倒しつつあった頃なので、妙にジャズっぽいというかR&Bっぽいというか、なよなよした感じが嫌いで、アルバムを聞くときはこの曲を必ず飛ばしていた3)。そうでなくとも、なんせこのファーストアルバムにはロックチューンの名曲がそろっている。1曲めのインスト「Child’s Anthem」から、今でもTOTOのライブで頻繁に演奏される「I’ll Supply the Love」「Girl Good-bye」「Hold the Line」とくれば、そっちを練習するのに精一杯。ギター少年にとって「Georgy Porgy」が退屈だったのも仕方がないと言えよう。

ところが、ずいぶん経って、92年に発売された「LIVE」というコンサートビデオ4)に収録されたバージョンを見て腰を抜かした。格好いいのだ、これが。リズム裏打ちで始まるオープニングからDavid Paichのソロっぽいイントロ、Steve Lukatherのヴォーカルも迫力がある。ギターソロもスライド・バーを使わずによりロックっぽいアプローチで弾いている。早速Valley Artsのストラト(もちろんルカサーモデル)で真似して弾き始めたりして、そこから急にお気に入りリストに不動の位置を占めるようになったのだった。速弾き原理主義にのめり込んでいたギターおたくが少しだけ大人になった瞬間である。今ではアルバムのオリジナルアレンジもいいなぁ、などと思っている。

 

1 トーカイの赤いストラトキャスターのコピーモデル、たしか4万5千円。
2 オリジナルのアルバム・タイトルは「TOTO」だが、邦題として「宇宙の騎士」というふざけた名前がついている。アルバムには「宇宙」も「騎士」も全く関係ない。多分、ジャケットの紋章からの連想なのだろう。この頃は洋楽に妙な日本語タイトルがついているのはごくあたりまえだった。
3 もちろんカセットテープを早送りする。
4 90年の PAST TO PRESENT ツアー、パリ公演の模様を収録したライヴ映像。このときのVoは第4代のジャン・ミッシェル・バイロンだが、全くバンドにフィットせずあっという間にいなくなった。「LIVE」の編集でも(その後のTOTOの歴史でも)、あたかも存在しなかった人のように扱われている。