MacBook Pro 16インチ

買ってまだ一年半くらいしか経っていないThinkPad X1 Carbonが充電できなくなってしまったので修理に出した。

数日経ってサービスセンターから届いた見積もりを見て我が目を疑った。だって購入した金額と同じくらいの修理費なのだ。いや〜、まさかね。何かの間違いでしょう?と問い合わせてみたところ、間違いではないと言う。僕の買った機種は薄くて軽くて高性能というのがウリだったのだが、そのせいでマザーボードにすべての部品が不可分な状態で組み付けられており、電源周りだけを修理するということができないため、修理するにはボードを全部取り替えるしかないのだ、という。ちょっと鼻が詰まったからお医者さんに行ったら、頭を丸ごと取り替えなければ治らない、みたいな話であるが、補償期間も切れているため、直すなら全面的に自費で払うしかない。

パソコンが壊れた、修理が高かった、なんて話はそれこそ日常茶飯事と言っていいほどによく聞くものだが、まさか自分に起きるなんて思っていない。人の話を聞きながら「そりゃ災難だったねぇ」などと同情したりもするが、所詮は他人事であって、こうして自分の身に降りかかってみて初めて、あまりの理不尽さに絶句し、憤り、そしてしょんぼりすることになる。

まぁ、お気に入りのPCではあったのだが、定価近くを出してまで修理する気にはならず、さりとてまた同じ機種の新品を買うのも釈然としない。というわけで、Windowsを諦めてMacに戻ることにした。さらに薄型軽量を買うという発想を綺麗サッパリ捨てて、画面の大きなものにしようということでMacbook Proの16インチを購入した。

会社のノートPCがMacbook Proの13インチなので、使い方に戸惑うということはない。だが、実際目の前に広げてみると、13インチとはかなり違う。まず16インチの画面はかなり大きく実に快適である。また、13インチに比べてキーボードのストロークが深めで打ちやすい。さらにスピーカーの音質が段違いに良い。このあたりの差は専門的に比較レビューしているサイトがたくさんあるのでここでは深入りしないが、結果として、けっこう良い買い物だったと思う。

捨てたもの記録:ノートPC

これまで何台のPCを購入してきただろうか。仕事柄、世間一般の人より多いかもしれない。最初に購入したのは、東芝の初代 Dynabook(J-3100SS)だった。まだWindows 3.1が出る前、MS-DOSの時代で、A4サイズの大きさで価格は20万円をわずかに切るくらい。サイズも価格も当時としてはかなり意欲的だった。

会社では、ワープロ(専用機)は一人一台に近かったが、PCはまだ実験的に導入されるかどうか、といったタイミングで部署に一台1)くらいだったと思う。そんな状況だったので、私物ではあったけれど、会社に持っていって、ワープロ代わりに活用したりしていた。その後、Windows 95が出たくらいから、会社にあるPCが少しずつ増えていった。同時に、出版の世界では、DTP(デスクトップパブリッシング)という言葉が、あちこちで聞かれるようになり、それとともにマッキントッシュも社内でちらほらと見かけるようになった。とはいえ、社内のPCがネットワークで接続されて、電子メールが仕事の中心的なツールとなるのはもう少し先の話だ。

98年に大手IT企業に転職すると、一転して最新型のPCが社内・社外ともに高速なネットワークで接続された最先端の仕事環境になった。最新バージョンのWindowsやOfficeアプリケーションをフル活用すれば「生産性」がこんなに上がるのだ、と世間にアピールする必要もあって、常に最新のハイスペックなPCを会社で使っていたため、家で使う個人用のPCを買うときも、同じようにスペックの高いPCでないとどうにも気持ちが悪く、結果として割高な機種ばかりを購入していたように思う。

写真は、IBMのThinkPad TシリーズとSonyのVAIO Zタイプ。もうずいぶん前に引退させて倉庫の肥やしになっていたものを今回処分することにした。どちらも、比較的スリムで軽く、高性能だったが、30万円近くしたはずだ。それでも、だいたい3年から4年くらいで、処理速度が遅くなったり、故障2)したりして、買い換えることになる。今は、当時よりPCの値段はさらに下がったとは言え、ちょっとスペックの良いものを買おうとすると、それでも20万オーバーは覚悟する必要がある。いまどき、20万円もする家電、それも数年で買い換えねばならない家電なんてめったにない。55型の最新型4Kテレビだって15万くらいだ。パソコン黎明期の価格を知っているから、安くなったものだなどと呑気に思っているが、PCはまだ相当高価な道具である。

1 これじゃ「パーソナル・コンピュータ」じゃなくて「パブリック・コンピュータ」(略してパブコン)だねと笑っていた。
2 ThinkPadはどういうわけかディスプレイがよく故障した。