Bark at the Moon (Ozzy Osbourne)

オジーのギタリストといえばランディ・ローズ。飛行機事故で夭折した才能あふれるギタリストであり、クラッシクギターあるいはクラッシク音楽の要素をハードロックに取り入れたパイオニアの一人。ギターソロだけで曲として成り立ちそうなくらいドラマチックな展開と考え抜かれたフレージング、それを支える正確なプレイ。端正で優しげなルックスと相まって「伝説」となったギタリストだ。そのランディ・ローズに代わるギタリストとしてプレイするのは誰にとっても至難の業だっただろう。

ジェイク・E・リーは、83年に発売されたオジー3枚目のアルバム「月に吠える」(原題 Bark at the Moon)から参加。アルバムタイトルにもなっている「月に吠える」はロック史に残る名曲だと思う。イントロのリフから疾走感溢れるバッキング、大きな展開のブリッジ、そしてギターソロ。ランディ・ローズのソロ構成に似て、叙情的な大きなメロディとメカニカルなスケール速弾きの組み合わせ。アウトロではスリリングな16分音符の繰り返し上昇フレーズ。技術的にとても高度な演奏だけれど、全体としてこれ以外ありえない、という完成度でとにかく格好いい。

ライブ映像を見るとわかるが、ランディ時代の曲も見事に弾きこなしていて、まったく遜色がない。自己流に変えてしまうことなく、オリジナルを尊重し忠実になぞりながら、それでいて自分の個性を出せるのが凄い。天の配剤というべきか、オジーはこれ以上ない後任を得たわけだ。ところが、ジェイクとオジーの関係は加入当初から悪かったようで1)、1986年発表の4枚目のアルバム「罪と罰」(原題 The Ultimate Sin)とそのツアーを終えた段階でジェイクは脱退してしまう。その後、Badlandsを結成して活動するも、商業的には成功せず、今に至るも余り活躍の場がないのは残念。

1 作った曲の著作権・クレジット等、加入にあたって非常に不利な契約を結ばされていたらしい。