さくら 2019

今年は3月末から4月はじめにかけて出張があり、東京の桜は見逃してしまいそうだと思っていた。4日の午後に帰国して成田から都内に戻る道すがら、あちらこちらにまだたくさんの桜が花をつけているのを見て嬉しくなってしまう。薄紅の桜が春の日差しのなかで霞むようにたなびいているのを見ると、しみじみと春の喜びを感じるのは、DNAにどこか刷り込まれた感覚なのか、幼い頃からの学習効果なのか、その両方か。帰国翌日に急いで目黒川の桜を見に出かけた。場所によっては花が散って葉桜になりかかったものもチラホラあるけれど、まだまだたっぷりと花をつけた木々がたくさん。平日の午前中ということもあって、ゆっくりと桜見物をすることができた。

気象庁のデータによると、今年の東京は21日に開花(昨年より4日遅い)、27日に満開(昨年より3日遅い)。この3、4日の差と開花後の天気の次第で、4月に入っても長めに楽しめたのだろう。幸運でした。

さくら 2018

東京では桜の開花が3月17日、満開が24日。満開日は例年より10日ほど早いとのこと。今年は久しぶりにしっかりと寒い冬だったが、3月半ばからぐっと気温があがる日が増え、東京の桜は開花スイッチが早めに入ったようだ。ここ数年、花が満々と開いたと思ったら、雨や嵐が早々に散らしてしまうことが続いていたように思うが、今年は穏やかな日が続いて、存分に花見を楽しむことができる。都心だと、中目黒から代官山近辺までの目黒川沿い、千鳥ヶ淵、靖国神社から市ヶ谷の靖国通り、四谷あたりは、桜並木が霞のように薄紅色に染まってため息が出るほど美しい。

目黒川沿いの桜

僕の桜の記憶は、小学校の入学式や新学年と一緒に始まっている。春の空と桜を見上げながら、学校の門を抜け、新しい教室に入る。不安と緊張と期待が入り混じったあの何とも言えない特別な気持ちをを、今でもはっきりと思い出すことができる。僕が小学校に入った年の満開日は4月5日、中学入学の年は4月10日1)だから、今より10日から2週間ほど遅かった。開花が早まった今はきっと、卒業式や終業式の思い出とともに桜を見る子どもたちが多いのだろう。そして大人になって、友達や好きだった子と離れ離れになるちょっと甘酸っぱい風景とともに桜を思い出すわけだ。春と人生の節目を桜が彩るというのは、悪くない文化だよね。

1 気象庁の「さくらの満開日」データによる。