豆花(とうふぁ)

豆漿につづく大豆ネタ。台湾スイーツは、タピオカミルクティーを筆頭に日本でも大いに盛り上がりを見せているが、「豆花」も台湾では代表的なスイーツらしく、日本にも台湾の有名店が出店してきている。

豆花というのは、つまり、豆乳プリンのようなものである。ウィキペディアによれば、食用石膏(硫酸カルシウム)やかん水を入れて凝固・成形したものだそうだが、最近はよりぷるんぷるんの食感を求めて、凝固剤に工夫が凝らされているらしい。この豆花に、優しい甘さのシロップがかかっており、そこにやはりほのかに甘く茹でられた柔らかな小豆やピーナッツ、季節のフルーツ(マンゴーやいちご)を好みで乗せてもらって食べる。こうして書き記してみても、婦女子がグループでお互いのトッピングについて「美味しそうだね~」なんて言いながら楽しそうに食べてこそ似合うものであって、おっさんが黙々と食べて似合うものではない。しかしながら、大豆探究家としては、豆漿に続く台湾名物として試さないわけにはいかない。うむ、仕方がない。

というわけで古くからの問屋街である迪化街にある「夏樹甜品」に行ってみた1)。ここは「豆花」というよりは、杏仁豆腐・杏仁豆花の専門店らしい。杏仁の香りの豆花にほんのり甘いシロップがかかっていて、そこにいくつかトッピングを乗せる。豆花もシロップもたっぷりしているので、トッピング2)はすぐに沈んでしまうが、スプーンですくって口に運ぶ。よく日本の中華料理店で出てくる杏仁豆腐にくらべるとかなり控えめな「ほのかな」甘さのせいで杏仁が引き立っている。これなら食事代わりにも食べられそうだ。

「春水堂」は元祖タピオカミルクティーのお店。ウェブサイトによるとここにも豆花があるはずだ。松山空港の第1ターミナルビルの2階にあったはずなので、帰国便のチェックインをした後の待ち時間で食べてみようか、などと思っていたところ、お店が見当たらない。どうやらなくなってしまったらしい。「春水堂」はいまや日本にもある。心残りだったので帰国してから行ってみた。こちらは杏仁ではなく普通の豆花。「夏樹甜品」よりも少し甘みが強くよりデザート感がある。それでも「ほのか」と形容できる甘さで、男性でも難儀することはなくするすると食べられる。

1 あとでわかったことだが、中山の誠品生活(新光三越の隣)地下のフードコートにもあった。
2 ピーナツをやわらかく煮たトッピングは台北だとどこにでもあるが、日本でピーナツを柔らかく煮て食べる、というのはあまり聞かない。千葉の方には人知れずあるのだろうか。