長年、多くの本を買ってきた。これまで何にお金を使ったかで言えば、今もせっせとローンを払い続けているマンションを除けば多分、本と楽器ではないかと思う。家中に本が溢れ、収拾がつかなくなったので、貸し倉庫に収めていたけれど、今度倉庫を借り換えることになって、とうとう、本の整理を始めた。長年の懸案だったけれど、こういう機会でもないとなかなか始められない。
大量にある、とはいえ、乱読の結果であって、コレクションではないので、稀覯書として価値のあるものは残念ながら一冊もない。ハードカバーも文庫もごちゃまぜ、古典からサブカル、文学からノンフィクション、ビジネス書までジャンルは広大だ。とりあえず、作業しやすい、という意味で、文庫から整理をはじめる。絶版+電子書籍で買えない+古本価格が高い1)+また読みたくなりそう、という4つの条件が「かつ」で揃っている場合を除いて、すべてブックオフに持っていくことにした。
とりあえず第一弾として160冊を持っていってみたところ、5冊がコンディション不良で買取不可。のこりの155冊は買い取ってくれた。ほとんどが5円とか10円の買取だが、意外なものが比較的高値だった。以下が買取価格ベスト5である。
「環境の哲学」「ウォールデン」「ペスト」「戦う石橋湛山」「人間臨終図鑑(1)」
本を読むときに傍線を引いたり書き込みをしたり、という人も少なくないと思うが、僕は本をまったく汚さない派なので、コンディションは概して悪くない。買い取りしてもらえなかった5冊は、相当古い上におそらく直射日光にあたっていたか何かで、紙が「わら半紙」のごとく黄ばんでおり、自分でもこれは仕方がないな、と思う。でも、一定の買取基準(破けていないとかカバーがついているとか)を満たしていれば、少なくともブックオフの場合、ぴかぴかの美品でもそうでなくてもあまり買取価格に影響はなさそうである。それにしても、何が高値でなにがそうでないのか、まったくわからない。なんとか傾向みたいなものを読み解こうとするに、いわゆる「古典」作品は、少し高いのかもしれない(上記5冊の中の「ウォールデン」と「ペスト」。ほかに「武士道」なんかもこれらに次ぐ価格だった)。
実は、今まで本を売るのにちょっと抵抗があった。読書の履歴という、かなり「個人的な領域」を他人に晒すようでイヤだったのだ2)。それでも倉庫に保管されたまま数年から10年程度が経つと、自分の記憶の中で生々しさが消え、ちょっと突き放して客観視できるようになるらしく、今のところ整理作業は比較的すんなりと進んでいる。数日内に、文庫本第二弾300冊程度を持ち込んでみる予定だ。