ホバート旅行記 7 ワイングラスベイ

ワイングラスベイ(Wineglass Bay)は、ホバートから北におよそ200キロのフレシネ半島(Freycinet Peninsula)・フレシネ国立公園の大自然の中にある1)。緩やかに湾曲した美しい砂浜が、言われてみればワイングラスの曲線に似ている。ここに直接クルマで乗り入れることは出来ないため、山を越えた北側の駐車場にクルマを置き、ワイングラスベイ・トラックという遊歩道を歩いて湾に向かう。途中、ワイングラス・ルックアウトという見晴台までが3キロ、往復1時間から1時間半の道のり、その先を進んで湾にあるビーチまで行けば、トータル6キロ、2時間半から3時間といったところ。

wineglass bay trail
トレイル(遊歩道)の案内板。

日没までの時間と体力を鑑み2)、とりあえずワイングラス・ルックアウトまで行ってみることにする。ルックアウトは標高230メートル。230メートルと聞くと、たぶん少なからずの人は、はは、大したことねぇな、楽勝、と思うだろう。そう、僕も思った。230メートルと言うのは、高尾山の半分、東京のビルで言えば、六本木ヒルズの高さに相当する。で、水も持たずに気楽に歩き出したわけだ。でも、普段運動をしないおっさんにはそれほどイージーでもないし、水くらいは持ってくるべきだったと思い知らされることになる。さて、ここで問題。直角三角形の斜辺が1500メートル 高さが230メートル、角度θは何度でしょうか。

答えは8.8度3)。これを道路標識によくある「%表示」に直すとおよそ15%。斜度15%の坂道って、ロードバイクなら「激坂」って言う人もいるレベル。100メートル進むと15メートル上がる。これを1,500メートルずっと歩くわけですよ4)。何にせよ、問題は勾配であって、絶対的な高さではなかったのだね。これだから素人は困る、って言ってももう遅い。最初こそ余裕を見せていたものの、だんだん息が切れ、そのうち隙きあらば道端の巨岩やベンチにへたり込む始末。それでも何とか40分ほどかけて見晴台までたどり着いたところ、そこからの風景は、なるほど来た甲斐があったというものだ。オーストラリア政府観光局のウェブサイトによると、4日間のガイド付きウォークツアーや、クルーズ、フィッシングなどいろいろ楽しめるようだ。次回はぜひもっと時間をとって来ることにしよう。

wineglass bay lookout
ワイングラスベイの美しい湾曲がよく見える。

1 タスマン・ハイウェイ(A3)でおよそ2時間半のドライブ。
2 野生動物が活発になる日没後に国立公園内をヘッドライトの灯りだけで走るのはできれば避けたかった。
3 直角三角形なら底辺、高さ、斜辺、角度のうち2つがわかれば残りは算出できる。このサイトのおかげですぐに答えが出る。
4 まぁ、トレイルは蛇行していて、ずっと直線的に昇っていくわけではないけれども。