浜田麻里といえば、88年ソウルオリンピックでNHKのテーマソングとして使われた「Heart and Soul」や、翌89年発売の「Return to Myself 〜しない、しない、ナツ。」のヒットを思い浮かべる人も多いだろう。でもアルバムデビューは83年。圧倒的な声域と声量、歌唱力と美貌を兼ね備えた女性HR/HMボーカリストとして認知され、絶大な人気を誇った。当時のHR/HMファンから見ると、前述の2曲はどちらかというと、浜田麻里らしいというより、一般ウケを狙ったポップス路線に見えたのだった1)。
Blue Revolutionは、意外なことに彼女の初シングルで85年リリース。同名のアルバムからの先行シングルだったようだ。作曲はMake-Upのギター松沢浩明で、彼の高度な作曲センスが凝縮されている。レコーディングでのギターは、その後B’zでスーパースターに昇りつめる松本孝弘2)。アルバム全体を彼が弾いているが、Blue Revolutionでは、そのギターが冴え渡っていて、特にギター・ソロは、日本のHR/HM史上でもベストプレイに上げたいほど素晴らしい。スケール的にかなり緊張音(というかブルーノートというか)を織り交ぜたランニングフレーズ、絶妙なリズム感、ソロ中の中ダレを防ぐリフ的フレーズの組入れかた、正確なピッキング、曲全体との調和とどこをとっても完璧だと思う。後のB’zでの成功もなるほど納得のギタリストだ。
ボーカルは、伸びやかでパワフルな高音を聴かせる浜田麻里の真骨頂3)。今も全く衰え知らずなのは驚異的だ。ちなみにサビ部分のコーラス/バックボーカルでさらに高音でハモっているのは妹の浜田絵里。姉妹に与えられた声帯のすごさを思わずにはいられない。