三つ子の魂

新宿の東急ハンズをうろうろしていたところ、すごいものを発見した。鈴木式輪ゴム鉄砲。単発式からなんと20連発のマシンガンタイプまである。すべてヒノキを使った手作りだそうで、手に持ってみると、滑らかな優しい温もりと同時に男子のメンタルを鷲掴みにする造形の美しさを兼ね備えている。6連発ガバメントタイプで4,000円という値段は安いのか高いのか1)。ひとつひとつ職人さんの手作りと考えれば高くはないような気がするし、小学生の頃よく割り箸でつくったゴム鉄砲の仲間だと考えると高い。アタマを冷やすためにいったん売り場を離れてみたが、気になってすぐにまた戻ってしまい、ゴールデン・ウィークの10%割引があるのを言い訳に買ってしまった。

ゴム鉄砲なのになぜ連発式が可能なのか。ゴムを先端の照星とグリップの上あたりにある木片にひっかけて飛ばす力を得るという点では割り箸製単発銃と基本的な仕組みは変わらない。違うのは手前側の(ゴムを引っ掛ける)木片が三角形で回転するようになっており、一辺ごとに二本の輪ゴムを引っ掛けられるので合計6本。引き金を引くたびに木片が回転してひっかかりが外れゴムが発射されるという仕組みだ2)

小学生の頃、割り箸で骨組みを組んで「ゴム鉄砲」をよく作って遊んだ。合計すれば20コや30コくらいは作ったのではないか。男子の性として、友達よりよく飛ぶ強力なやつを作りたい。いや、もっと有り体に言えば、友達に自分より痛い思いをさせて悔しがらせたい。いきおい、ゴムの限界まで引っ張ることになり、銃身がどんどん長くなっていったが、なんせ割り箸製だから強度的に問題があり、製作中あるいは戦闘中に勝手に崩壊して「暴発」し、自分で痛い思いをすることも多かった。小学生にしてこのような「軍拡競争」が起きるわけだから、世界から武器がなくならないものむべなるかな、ではある。

同じくひのき製の的も売っていたので、一緒に買って家で的当てをしてみた。きちんと作られているだけあって、ゴムの飛んでいく先がブレずに精度が良い。昔から射的の類いは得意だったが、二メートルくらい離れても8割ぐらいの確率で的に当てられるようになった。子供向けのおもちゃガンでは、スポンジの銃弾を飛ばすNerfというハズブロ社製のものが人気があるそうだが、僕にはこの輪ゴム鉄砲のほうがずっと魅力的にみえる。これって単に三つ子の魂ってやつなのだろうか。今度甥っ子3)に見せて、どのくらい食いつくか観察しようと思う。

1 ウェブサイトには8連発式7,000円のものが出ているが、ハンズには6連発式のものもあった。
2 と、書いてみたところでよくわからないと思うので、興味のある人はフェイスブックにある動画を見てください。
3 ヤツはNerfもたくさん持っている。