The 3 Rs (Jack Johnson)

ジャック・ジョンソンは、ハワイ・オアフ島ノースショアの出身。17歳でプロサーファーへの道を歩みだすが、サーフィン中に負った大怪我のためにその道を断念せざるを得なくなってしまう。その後、カリフォルニア大学サンタバーバラ校で映像制作を専攻。ミュージシャンとしてデビューする前に、映像作品として、ドキュメンタリーフィルム「Thicker than Water」を1999年に制作1)している。ミュージシャンとしてのデビューは2001年に自身のレーベルから発表された「Brushfire Fairytales」。

おそらく最も知られたヒット曲は「Better Together」2)だろう。彼の曲は、フォーク・ロックやブルーズ的なコード使いをしつつ、ハワイ出身らしい肩の力の抜けた、大自然に寄り添うような、穏やかなトーンとスタイルで、聴く人をほっとさせる。僕も夏になるとクルマの中でよく聴いている。アコースティックのイントロが流れたとたんに、フロントガラスの向こうの蒸し暑くギラついた東京の夏が、こころなしかハワイっぽく爽やかなものに見えるのが不思議だ。こういう独特な空気感は、石垣島出身のBeginをはじめとする沖縄のアーティストが持つ空気に似ている。

「The 3 Rs」は、映画「Curious George」3)のサウンドトラック「Sing-A-Longs and Lullabies for the Film Curious George」(2006年リリース)に収められている。この曲は、「Schoolhouse Rock!」というアメリカ版「みんなのうた」のような番組で放映された「Three is a Magic Number」という曲の、ジャック・ジョンソン版替え歌。子供向けに「3つの大切なR」を教える歌で、3つのRというのは、Reduce(減らして)、Reuse(再利用して)、Recycle(リサイクルする)のこと。オリジナル曲の「不思議な数字=3」のからめ方がやや強引な気もするけれど(3が2つで6、6が3つで18、アルファベットの18番目はR)、3つの「R」にもっていく歌詞がどこか可笑しくてほのぼのとさせる。

「Curious George」のサウンドトラックには、もうひとつ「The Sharing Song」というタイトルの、「みんなで分ければもっと楽しい」という、やはり子供向けのメッセージソングが収録されている。これが実に格好いいブルーズで、後半のコーラスパートに子供たちの声が入っていたりしてすごく素敵な曲に仕上がっている。いつか自分のバンドで、もうちょっとヘヴィにアレンジしてコピーしてみるのも楽しそうだ。この曲は、ジャック・ジョンソンのバンドのドラム Adam Topolと、アコーディオン&キーボードの Zach Gillが作っている。

1 サウンドトラックも自身のオリジナル曲。
2 2005年3月発売の3枚目のアルバム「In Between Dreams」に収録。
3 日本語タイトルは「おさるのジョージ」。ただ、僕らの世代には、最初に出版された翻訳絵本についていた「ひとまねこざる」という題名のほうがしっくりくる。