都立中央図書館

このところ、広尾にある都立中央図書館によく行く。広くて、閲覧席も比較的空いていて、ゆっくり調べ物や書き物ができる。駐車場も無料だ。

昔から本を読むのが好きだった。小学校の頃、学校の図書室にあった本はあらかた読んでしまった。今思い出すと、自分の図書室カードの借り出し欄をいっぱいにするのが楽しいという、若干コンプリート趣味的なものがあったのは否めないのだが、それでも借りた本は全部読んでいた。図書室では飽き足らず、高学年になると市立図書館へもしょっちゅう行っては本を借りていた。何か特定のシリーズや作家にはまると、読み尽くすまでずーっと読んでる。たしか最初はモーリス・ルブランの「ルパン」ものあたりだったか。それから、「エルマーのぼうけん」シリーズ、「ドリトル先生」シリーズ、斎藤惇夫の「ガンバ」もの1)、畑正憲のエッセイ、などなど。

図書室とか図書館といった、本がたくさんつまった場所には何か特別なものがある。今でも、図書館に足を踏み入れるたびに、子供の頃の、あの静かな興奮というか心の奥の方がかすかに震える感覚が蘇る。僕にとって図書館はいつも、静かで穏やかな空気が満ちた深い森を連想させる。森の奥に何かおもしろいものが眠っていそうで、足音を立てないようにずっと深くまで入り込んで行きたくなる。

中央図書館には素敵な食堂とカフェがある。5階の「有栖川食堂」は昨年10月に、1階の「有栖川珈琲」は12月に、新しくオープンしたらしい。食堂のほうは、定食メニューが豊富で、何を食べても美味しい。1,000円前後なので、都の施設としてはやや高めかなという価格設定だが、じゅうぶんに金額以上のクオリティだと思う。食堂の窓の外には、皇室や各国大使がメンバーに名を連ね、100年を超える歴史をもつ東京ローンテニスクラブのコートが間近に見え、遠景には六本木ヒルズが秋の日差しに銀色に光っている。1階入口横にあるカフェはドイツ式のちょっと濃い目の珈琲を提供していて、こちらも大変よい。

1 「冒険者たち – ガンバと15ひきの仲間」(岩波書店)は、今まで何冊買ったか数えられないくらい繰り返し読んだり、人にプレゼントしたりした。斎藤の第一作「グリックの冒険」では、ガンバは脇役で登場する。