捨てたもの記録:ノートPC

これまで何台のPCを購入してきただろうか。仕事柄、世間一般の人より多いかもしれない。最初に購入したのは、東芝の初代 Dynabook(J-3100SS)だった。まだWindows 3.1が出る前、MS-DOSの時代で、A4サイズの大きさで価格は20万円をわずかに切るくらい。サイズも価格も当時としてはかなり意欲的だった。

会社では、ワープロ(専用機)は一人一台に近かったが、PCはまだ実験的に導入されるかどうか、といったタイミングで部署に一台1)くらいだったと思う。そんな状況だったので、私物ではあったけれど、会社に持っていって、ワープロ代わりに活用したりしていた。その後、Windows 95が出たくらいから、会社にあるPCが少しずつ増えていった。同時に、出版の世界では、DTP(デスクトップパブリッシング)という言葉が、あちこちで聞かれるようになり、それとともにマッキントッシュも社内でちらほらと見かけるようになった。とはいえ、社内のPCがネットワークで接続されて、電子メールが仕事の中心的なツールとなるのはもう少し先の話だ。

98年に大手IT企業に転職すると、一転して最新型のPCが社内・社外ともに高速なネットワークで接続された最先端の仕事環境になった。最新バージョンのWindowsやOfficeアプリケーションをフル活用すれば「生産性」がこんなに上がるのだ、と世間にアピールする必要もあって、常に最新のハイスペックなPCを会社で使っていたため、家で使う個人用のPCを買うときも、同じようにスペックの高いPCでないとどうにも気持ちが悪く、結果として割高な機種ばかりを購入していたように思う。

写真は、IBMのThinkPad TシリーズとSonyのVAIO Zタイプ。もうずいぶん前に引退させて倉庫の肥やしになっていたものを今回処分することにした。どちらも、比較的スリムで軽く、高性能だったが、30万円近くしたはずだ。それでも、だいたい3年から4年くらいで、処理速度が遅くなったり、故障2)したりして、買い換えることになる。今は、当時よりPCの値段はさらに下がったとは言え、ちょっとスペックの良いものを買おうとすると、それでも20万オーバーは覚悟する必要がある。いまどき、20万円もする家電、それも数年で買い換えねばならない家電なんてめったにない。55型の最新型4Kテレビだって15万くらいだ。パソコン黎明期の価格を知っているから、安くなったものだなどと呑気に思っているが、PCはまだ相当高価な道具である。

1 これじゃ「パーソナル・コンピュータ」じゃなくて「パブリック・コンピュータ」(略してパブコン)だねと笑っていた。
2 ThinkPadはどういうわけかディスプレイがよく故障した。