「オーケー、グーグル」って小学生がAIスピーカーに向かって言う姿は、かつて大作少年がジャイアント・ロボ1)を操縦していた姿を彷彿とさせる。大作くんがジャイアント・ロボを操って悪の組織BF団と戦っていたのは1967年なので、かれこれ50年ほど前のことだ。ジャイアント・ロボは腕時計型の音声操縦システムで動くロボットで、大作くんの声にしか反応しない。
最近、AIスピーカーが人気だ。アマゾン・エコーとかグーグル・ホームみたいなやつ。インターネット(とその先にあるAI的なプログラム)につながっており、スマートフォンを使う代わりに、音声だけで操作できる。まさにジャイアント・ロボである。このスマートスピーカーを使うには、「今から話しかけるぞ」ということをまずAIに伝えるために、決められた「符丁」を言う必要がある。グーグル・ホームだと「OK、グーグル」がその符丁だが、これが意外とハードルが高い。自意識過剰なのかもしれないけれど、えーと発音は「オーケー」でいいんだっけ、それとも英語っぽく「オゥケィ」かしらん?、「グーグル」のアクセントはどこ?最初の「グ」あとの「グ」?などと余計なことを考えて躊躇する。とても人前でなど言えない。
この「符丁」部分を自分の好きな言葉に設定できればいいのに。そうすればもっと自然に呼びかけができる。もちろん「ジャイアント・ロボ」にするのだ。
「ジャイアント・ロボ、電気をつけて」
「ジャイアント・ロボ、タクシーを呼んで」
「ジャイアント・ロボ、もっと楽しい曲をかけて」
素晴らしい。身長30メートル、体重500トンの、スフィンクスみたいないかつい顔の巨大ロボットがタクシーを呼ぶ姿が目に浮かぶようだ。50年の時を経て、ジャイアント・ロボはもう悪と戦う必要はなくなり、僕らと平和な余生を過ごすことになったのだ。
↑1 | 「鉄人28号」の横山光輝がテレビ化を前提につくったロボットもの。漫画版は少年サンデーに連載された。テレビ版は、どうやらインドでも最近まで放送されていたようで、僕よりだいぶ年下のインド人同僚も、子供の頃にこの番組を見ていたらしい。 |