ミシガンアベニューブリッジ:シカゴ旅行記 3

ネスがマローンに初めて出会うのは、ミシガン通りがシカゴ川を越える橋の上。ネスが就任早々に意気込んでガサ入れした密造酒工場は、事前に情報が漏れてもぬけの殻。新聞に「哀れな蝶々夫人」と揶揄されて意気消沈するネスと、汚職がはびこるシカゴ警察にいながら法を守り執行することを信条にする硬骨の警官マローンが、人通りもない夜のミシガンアベニューブリッジ1)で出会う。

Wikipedia(英語版)によると、橋の建設が開始されたのは1918年。1920年に利用が開始されたが、装飾などが完了したのは1928年とある。映画「アンタッチャブル」は禁酒法時代の終わり、1930年から33年頃ごろの設定と思われるので、装飾工事が完了して間もない頃ということになる。映画では注意して見ないとわからないが、この橋は上下2層構造になっており、二人が出会っているのは下の層だ。

ネスがシカゴ川に紙屑(奥さんがランチを包んだ紙。夫への励ましのひとことが書いてある)を投げ捨てたところを、マローンが見咎めて注意する。自分の失敗に苛立って刺々しく絡むネスに、「一日の勤務を終えたら、無事に生きて家に帰ること。これがシカゴの警官の教訓その一だ。」とマローンが語るところで出会いのシーンは終わる。

シカゴ川を「ト」の字に例えるなら、ここは横棒の真ん中。観光客に人気のショッピング街「マグニフィセント・マイル」の南端にあたり、交通量がとても多い。すぐそばには、2009年に竣工した92階建てのトランプ・インターナショナル・ホテルや、1925年竣工のトリビューンタワー2)、1924年竣工のリグレービル3)などシカゴ高層建築の歴史的、代表的なビル群がそびえている。(シカゴ旅行記 4 に続く)

1 正式にはDuSable Bridgeという名前がついている。
2 元々はシカゴ・トリビューンという新聞などを発行するトリビューンメディアの本社だった。2020年までにオフィスからコンドミニアムに改装されるらしい。
3 ガム会社のリグレー本社。