アンタッチャブルの街:シカゴ旅行記 1

アンタッチャブル

それほど映画を観る方ではないけれど、好きな映画をあげろとなれば、「ゴッドファーザー」(とくに第一作と第二作)、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」といった、「マフィア」を扱った映画がいくつか入ってくる。単にこの手の映画によく出てくる役者が好きなのか、あるいは時代の暗さとダンディズムの組み合わせに何か惹かれるものがあるのか。

中でも「アンタッチャブル」(The Untouchables)は良い。1987年公開だから、僕が大学生の頃だ。当時ビデオまで買って繰り返し見た。主人公エリオット・ネスにケビン・コスナー、アル・カポネ役にロバート・デ・ニーロ、ネスを助ける老警官マローンにショーン・コネリーという豪華な俳優陣。アンディ・ガルシアは、射撃に秀でた若き警官・ジョージ・ストーン役で、ハリウッド俳優としての成功の第一歩を踏み出した。監督はブライアン・デ・パルマ。女性の登場人物はネスの奥さんくらいで、全体にエラく男っぽい映画である。

主演はケビン・コスナーだとはいえ、これはショーン・コネリーの映画である。いや、正確にはショーン・コネリーとロバート・デ・ニーロの映画だ1)。キャラクターの存在感、深さ、狂気、滑稽さ、弱さ、強さといったものを、この二人がそれぞれに遺憾なく発揮していて見飽きることがない。アルマーニによる衣装がまた見事だ。みなダークスーツに中折れ帽。スーツ(あるいはジャケット)の着こなしの格好良さでは、ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドといい勝負だと思う。

「アンタッチャブル」の舞台は禁酒法時代のシカゴ。2年ほど前(2016年)に、シカゴに出張する機会があったので、撮影に使われた場所をいくつか訪ねてみた。(シカゴ旅行記 2 に続く)

1 もうひとり、フランク・ニッティという白いスーツの殺し屋がいて、ビリー・ドラゴが演じている。この人もコスナー以上の存在感を放っている。