青春のササニシキ

ふるさと納税で宮城県大崎市からササニシキをもらった。いまササニシキはあまり流通しておらず、手に入りにくい。今、流通しているお米の大半は、コシヒカリかコシヒカリの子・孫ともいえる種類で、作付面積の割合で言うと、7割から8割がコシヒカリ系らしい1)。ササニシキは上位20位にも入らなくなってしまったので割合としては0.6%以下、ということになる。1970年代から80年代は、日本晴(にっぽんばれ)、ササニシキ、コシヒカリが3強だった。しかし、ササニシキは生産に手間がかかり、冷害や病気に弱いらしく2)、安定して高品質なコメがつくれるコシヒカリが急速にシェアを伸ばしていった。

炊いてみると、白く光る米粒がスラリと輝いて、食べてみると、これがとてもよい。さっぱり、さらりとして優しい味わいだ。同時に、とても懐かしい味がする。忘れていた何か大切なことをふと思い出したような感じ。男子食べ盛りに白米をどか食いしていたのがまさに70年代、80年代なので、ササニシキを大量に胃の腑に収めた記憶が脳の奥の方に刻み込まれているに違いない。

手巻き寿司とカレーを家で作って試してみたところ、これが絶妙に合う。コシヒカリで作るよりも美味い。刺し身やカレーの旨味が一歩前に出てくる。寿司屋がササニシキを指定することが多いというのもよくわかる。コメが魚の繊細な香りや味を邪魔しない。丼ものとかカレーとか、ライスの上に何か乗せるタイプの料理にはぴったりだ。あと、胃にもたれないのもよい。

1 上から、コシヒカリ36.2%、ひとめぼれ9.6%、ヒノヒカリ9.1%、あきたこまち7.0%だそうだ。「平成28年産 水稲の品種別作付動向について」公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
2 93年の東北冷害で急速に作付が減少したようだ。