モバイルSuicaに逆ギレする

家を出ようとするたびに、SuicaあるいはPASMOカードを探し回る。決まったところに置かない自分が悪いのであるが、それにしても神隠しのように消える。家の中に次元断層か何かがあって、そこからスルリと滑り落ちているのではないか。

この次元断層問題を解決するためにiPhoneを6Sから8に変えた。8ならばモバイルSuicaが使えて、駅の入場もスマホをかざせばよい。iPhoneがなくなることはめったにないので1)、これでSuicaを探し回らずにすむわけだ。使ってみるとこれが実に快適。JRもバスも地下鉄もスマホをかざして乗れる。コンビニで支払いにも使える。つい一ヶ月前まで小銭をじゃらじゃらとやりとりしていたのが、遠い昔のようだ。もうあの頃には戻れない、戻りたくない、などと青春ドラマのような感想を抱いたのであった。

そんなある日、実家に用事があって湘南新宿ラインに乗ることになった。もちろん改札では、鼻息荒くiPhoneをかざして新宿駅に入り、3・4番線ホームへ向かう。1時間ほどの道中だし、たまにしか乗らないので、グリーン車に乗ってもええやろ。モバイルSuicaで贅沢したろ、と大阪弁で思いつつ、ホームにあるグリーン券の券売機でスマホをかざして購入しようとすると、「このカードは使えないから駅員に言ってちょうだいね」的なメッセージが出て買えない。結局、車内で現金で支払うハメになったわけだが、どうにも納得がいかない。今まですっかり満足していただけに、裏切られたという気持ちが強く、文句のひとつも言わないと気がすまぬ。どこかにカスタマーサービス窓口みたいなもんがあるやろ、と眉間にシワを寄せながらウェブサイトを眺めていたところ、「Suicaグリーン券の購入方法」という案内があるではないか。よく読んでみると、モバイルSuicaでのグリーン券購入は、ホームの券売機を使うのではなく、モバイルSuicaアプリ内で完結するのであった。危うく説明書も読まずに文句の電話をかけてくる痛いおっさんの仲間入りをするところであった。反省。

 

 

1 iPhoneは次元断層よりも大きいのであろう。