リッチー・ブラックモアといえば、誰もが知るカリスマ的ギタリストであり、ロックにクラッシック音楽的(バッハ的)な音階を取り入れたパイオニアであって、後に続く多くのHR/HMギタリストに多大な影響を与えた。それはわかっているけれど、ギタープレイ自体は、どうも好きになれない。個性的なのはわかるけど、音程も安定しないし、多分にヒステリックで、音もどこかギーギーと神経に触る音だ。
一方、曲作りでは引き出しが多くて、リフやメロディ、曲の構成などにその才を発揮していると思う1)。レインボーは時期によって、指向性や曲調がずいぶん変わったので、人によって好き嫌いが時期ごとに別れる2)。「I Surrender」は、アメリカで売れることを意識していわゆる「売れ線」またはポップ寄りになったといわれる、かなり後期の曲。ボーカルはジョー・リン・ターナー。
この人はとてもいいボーカリストだと思うけれど、そのキャリアを通して、リッチーとイングヴェイにいいように使われる小間使い的キャラがついてしまい、かなり損をしている。実際はそうでないとしても、リッチーの様子を伺いつつ歌っているように見えてしまう。観ているこちらまで、曲を楽しむより先に、リッチーの機嫌の良し悪しを心配してしまい、どうにも落ち着かない3)。
とはいえ、HR/HMでは年齢とともに歌えなくなる(高音がでなくなる)ボーカリストが多い中、今もパワーを保っているように見える。ソロ・プロジェクトの「Under Cover」と「Under Cover 2」では古今ロックの名曲をカバーしていて、なかなか聴きごたえのあるいいアルバムだ。
1件のコメント
コメントはできません。