摩天楼 (メイク・アップ)

Make-Upといえば、聖闘士星矢の主題歌「ペガサス幻想」と言ったほうが通りがいいのかもしれない。元々はジャパン・メタル全盛期の1984年にデビューしたバンドで、ラウドネスの弟分的扱いを受けていたように記憶している。ブレイクし切れなかった感はあるけれど、ヘヴィなギターのリフの上でキーボードが分数系のコードで複雑な響きを出す感じとか、曲作りは結構凝っていた。また、ボーカル・山田信夫の上手さは同時代のバンドの中でも際立っていたと思う。

「摩天楼」はメイク・アップの特長がよく出た曲だ。とくにBメロからサビにかけてがいい1)。このあたりは「ペガサス幻想」にも通じるものがあって、ギター・作曲の松澤浩明のセンスが光っている。松澤は「ペガサス幻想」以外にも数多くのアニソンを手がけている。

87年に解散したMake-Upは2009年に再結成したが、2010年11月に松澤が50歳の若さで亡くなってしまう。Make-Upではバンドサウンドの中で、ギターの役割を過不足なく注入する役割に徹していた感があるので、バンドの枠を取り去って好きなようにギターを弾きまくったらどうなるのか、ソロアルバムをぜひ聞いてみたかったなぁと思う2)

1 サビの歌詞が日本語なのにも好感。当時の日本語ロックは、サビにくると突然中学校の教科書みたいな英語になる曲が少なくなかった。
2 TUBEの春畑道哉のソロ・アルバムみたいな感じじゃないかと勝手に想像してる。